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蕩けるようなキスをして
第39章 一日千秋
縋ってくれてるのに。
拠り所にしてくれてるのに。
きっと、昨日の告白からずっと不安で堪らないから、自分の心を確かめたいのだろうに。
全部分かっていて、そういう気持ちだけでは彼女を抱けない、自分。
こんなんじゃ、やっぱ、勝てる気がしない。
こんなんだから、いつまで経っても、たったひとりの女の心さえ儘ならない。
彼女のせいでもなんでもない。
俺の、不甲斐なさのせいだ-。
行き場のなさを、彼女を掻き抱く事でしか、逃す事が出来ない。
極限まで落ち込んだ陸の心を救うのは、他ならぬ華夜子だった。
「でも、やっぱり。陸は、優しいよ」
微笑まれるが、嘘でも笑い返す余裕はない。
何を言われるのか-陸はただ、彼女を待つしかない。
「昨日から、私に言いたい事なんか沢山あるだろうに。訊きたい事なんか、山程あるだろうに。私を傷付けないように。私に辛い過去を思い出させないように。そのどれもしないでいてくれてる」
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