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蕩けるようなキスをして
第37章 欲しいもの
彼女の意思などお構いなしに、その身体を滅茶苦茶にしてやりたい-陸の脳裏に、一瞬、恐ろしい考えが浮かぶ。
それ程。
彼女の激しく乱れたその姿は、陸を惑わせていた。
その誘惑を断つ如く、陸は努めて冷静に、頭の中を切り替える努力をする。
華夜子から視線を逸らし、深く息を吐(つ)き、呼吸を整える。
「…キスしようとした時に比べたら、抵抗もせず、随分大人しくしてるじゃねーか」
ぽつりと、呟く。
「このまま俺、華夜を抱いてもいいって事?」
薄い笑いを張り付け、尋ねれば、華夜子は顔を赤らめる。
表面上だけでも乱れた服装を急いで直し、華夜子は軽く、陸を睨む。
「…陸はしないよ。絶対、しない」
その声音は小さかったが。
はっきり、強く、言い切られ。
陸は言うべき事を失ってしまう。
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