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蕩けるようなキスをして
第5章 卵焼き
「えっ?」
「さっきあと一個残ってるの見た。卵焼きがいい」
言って、陸は華夜子に向けて口を開けて見せた。
カラコンを入れたその目は-笑ってる。
「…何?」
嫌な予感がして、華夜子は彼から身体を離そうとする。
「何って、頂戴だよ」
当然の如く開いた口から覗く赤い舌を、催促するように、ゆっくりと、動かす。
「絶対嫌っ!」
これ以上はないくらに真っ赤になり、即座に華夜子は叫んだ。
やっぱり、このひとといるとろくな事がない。
やっぱり、このひとといるとだめだ。
やっぱり、このひとといるといけない。
弁当箱の蓋を閉じようとして、
「嘘だったの?」
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