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蕩けるようなキスをして
第37章 欲しいもの
「『陸の部屋に行きたい』だなんて、嬉しい事をいきなり言ってきたり…多分、何かがあるんだろうなって事ぐらい、俺にも分かる」
陸に見詰められ、華夜子は意を決する。
「…陸に、話があって」
消えそうな声音で言葉を発すれば、陸の片頬が微量の電流が通ったかのように、痙攣した。
「…何?やっぱ、別れ話的なやつ?…別れるも何も、そもそもまだ、付き合ってもないか」
陸の鼻が淋しげに鳴った。
「…違うよ」
意地の悪い彼の言い方に、増々華夜子の心に重荷がかかる。
「そういう話をもしもするとしたら、わざわざここに来たいなんて言わないよ。…もの凄く帰り辛くなる」
「じゃあ、何?」
はっきり言ってくれと言わんばかりに、鋭く、問われる。
テーブルの上に乗せられた陸の腕に、華夜子は恐る恐る、右手を伸ばす。
彼女の方からそんな風に触られた事などない陸は、この行動の意味が分からず、思わず、頬杖を解く。
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