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蕩けるようなキスをして
第37章 欲しいもの
「終わりかと思って」
「終わり?」
「華夜とは、もう終わりなのかなって。そう言われるんじゃないかって。そう、思った。後を追った先で、別れを告げられるんじゃないかって」
-だから、無理だった。
-その瞬間を引き伸ばしたくて、泣きながら背を向けた彼女を、とうとう掴まえられなかった。
テーブルに右肘を付き、テレビの一点を眺める、彼の横顔。
「だから。今、こうして華夜が隣りにいて。変わらず、側にいてくれて。すごくほっとしてる。もう二度と逢ってくれないかもしれない…少しだけ、覚悟してたりもしたから」
-ほんと、見かけによらず、ネガティブなんだよ、俺。
茶色の瞳が狭くなる。
口角が上がる。
「だって。突然泣いた彼女が、いきなり駆け出してくシチュエーションって、どうしたって普通じゃないよな」
頬杖はそのままに、陸は華夜子に目線を送った。
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