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蕩けるようなキスをして
第37章 欲しいもの
「…怒っているかと思うと。陸が、きっと、怒ってるに違いない。そう、思うと。とても食事なんか」
-喉を通らなかった。
ミニスカートの裾を握り締め、訴えかけるようにこちらを見る、彼女の姿。
陸の中で、張り詰めていた何かが緩む。
「…昨日、踵を返した華夜を、追い掛ける気になったら簡単に追い掛けられた。でも、俺はしなかった。…出来なかった。追いついたところで、華夜が更に泣いたり、ともすれば、言い争いになるのは目に見えてたし」
-それに。
陸は続ける。
「華夜に、言い捨てられやしないかと。何よりそれが怖くて、遂に、追い掛けられなかった」
「言い捨てる…?」
華夜子は眉を寄せた。
微かな笑みを口元に。
陸は彼女から、テレビ画面に顔を向けた。
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