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蕩けるようなキスをして
第36章 待ち伏せ
「…心配して何度何度も、電話も、ラインも送ってくれたのに。…知っててずっと、無視してた」
「…」
「…ごめんなさい、ほんと」
-もしかしたら、許してくれないかもしれないけれど。
「ごめんね、陸-」
相変わらず何も言ってくれない陸に、華夜子はまたしても、涙が零れそうだった。
華夜子が痛む胸を抑えていると、不意に、穏やかな声が聞こえてくる。
「…もしかしたら、どこか痛むとか、具合が悪かったんじゃないかって、ずっと心配してた」
ようやくこちらを向いてくれた陸は-怒ってなどいなかった。
「でも、どうやら違ったみたいで、安心した。それと-」
-俺が、知らない間に、泣かせてしまったんじゃなければいいんだけど。
自信なさげにな陸に、華夜子は即答した。
「違うよ、陸。それは、違う-」
陸はやっと安堵し、華夜子に向けて微笑んだ。
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