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蕩けるようなキスをして
第5章 卵焼き
「味は変わらないと思うけど。ねえ、華夜子の手作りなの?」
「…そう、だけど。けどさ-」
「そんなに気になるなら、形が崩れてなさそうなの、一個だけ頂戴。それで今日は我慢する」
そこまで言われれば、もう、従うしかなかった。
華夜子は火照った頬のまま、鞄からお弁当箱を取り出し、蓋をそっと、開けてみる。
どんな感じ?-陸が横から覗こうとしたので、急いで隠す。
「見ちゃだめ!もの凄く、ぐちゃぐちゃになってるから」
華夜子の迫力に、陸はたじろぐ。
けれど。
中身は思った程-と言うか、ほぼ綺麗なまま、ご飯もおかずも収まっていた。
でもそんな事を教えてあげたら、彼はきっと全部食べたいとか言い出しかねない。
それは、流石に、勘弁して欲しいから。
おかずを一つ、彼に差し出そうとして-そこで、困ってしまう。
これをどうやって、彼にあげればいい?
いくら考えても思い浮かばない。
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