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蕩けるようなキスをして
第35章 彼女の過去
「だから。華夜が謝るような事は、何ひとつないよ。寧ろ俺は今、すげー喜んでる。乃愛の話を教えてくれて。褒められる事なんて滅多ないからさ、すげー嬉しがってる」
一笑し、陸は正面に視線を戻した。
-優しい。
彼と一緒にいればいる程、その優しさに満たされる。
彼の温かさに包まれて、幸せな気分になれる。
改めて、思う。
いよいよ黙っている事に、華夜子は罪悪感を覚え始める。
彼が謝罪を口にすると言うのなら、この自分もまた、彼に許しを請わなければならない。
本当なら。
本来なら。
既に恋人と呼ばれるような関係になっていてもおかしくない。
好きだと言われて。
付き合って欲しいと言われて。
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