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第35章 彼女の過去

大事にする。
大切にする。
何度も、何度も、そう、言ってくれた。
自分もまた、そんな彼に惹かれて。
好きになって。
好きだと、とうとう、口にした。
喜んでいた、彼。
ここで、ふたりの関係は、変化するはずだった。
普通なら、ここで、恋人同士になるはずだった。
なのに。
やっぱり、決断出来なかった、自分。
どうしても、躊躇してしまう、自分。
私が、ただの、普通の、女子大学生であったなら。
かつて付き合っていた恋人を吹っ切り、次の新しい恋に向かおうとしてる、ただの大学三年生であったのなら。