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蕩けるようなキスをして
第35章 彼女の過去
「…変な話じゃないよね?」
「変なって?」
「だから…変なだよ」
いちいち細部まで詳しくなんて、言えない。
だから、やだったんだよ-陸は、言い淀む。
視線を外してしまった彼に、華夜子は微かに苦笑いをし、続ける。
「よっぽど、私に訊かれたくない何かがあるみたいだね」
「…勘弁してよ」
華夜子の冷やかしに、陸は短く、呟く。
「華夜にこんな事頼めた義理はないけれど。…でも、出来るなら、勘弁してほしい」
ごめん-陸は、最後に謝罪を足した。
ついさっき見せてくれた、溶けそうに甘い笑顔は封印され、憂いた横顔は明らかに強張っていた。
その辛そうな陸の表情に、華夜子は自らの失言を恥じる。
「…私の方こそ、ごめん」
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