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蕩けるようなキスをして
第34章 彼の過去
薄い苦笑いを浮かべ、自分の心をひた隠すしかなかった。
正直、もの凄いショックを受けてはいるが、それを表面上に出す訳にもいかず、なんとか自分を納得させようとする。
それを言われると。
それを理由にされると、何も言えない。
言えなくなってしまう。
だって、限りなく、正しい。
だって、受け入れられない理由として、この上ない正論だから。
自分が出来るのは、一日も早く、彼女に認めてもらう事しかない。
好きだと言ってくれてるその気持ちが、変わらない内に。
過去を赦し、こんな自分でもいいと、言ってもらうしかない-。
華夜子は、彼に言いたい事が確かにあったのだが。
なんとなく憚れる雰囲気に、遂に押し黙ってしまう。
何も言ってくれない華夜子に、陸は気付かれまいと、小さな溜め息を吐(つ)いた。
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