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蕩けるようなキスをして
第5章 卵焼き
「何?」
訊き返すが、華夜子は瞬時にしまった、という表情をし、口を閉ざしてしまう。
少し気になるぐらいだったのに、そんな事をされると人間、非常に気になって仕方なくなる。
「何、おねーさん?」
「…」
「言うなら、最後までちゃんと言ってよ。気になるじゃん」
「…なんでもない。言葉の綾」
「言葉の綾って…あ、しかゆってないし」
呆れ、陸はベンチの左端から滑るように再び、身体を寄せてくる。
「ちょ、ちょっと…」
華夜子は困り果ててしまう。
寄り添う彼のそれに鼓動が速まってしまうのは仕方ない。
誰だってそうなる。
特にこの彼が相手ならば。
どうしようもないのだ。
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