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蕩けるようなキスをして
第5章 卵焼き
さも、許す限り、ここにいたいかのような台詞を吐く、自分。
この日差しの強い中。
しかもこの彼と一緒で。
ここにいる意味なんてないはずなのに。
ここにいなきゃいけない意味なんてないのに。
私、どうしちゃったの?
困惑し、視線を落とす華夜子とは裏腹に、陸は込み上げる心地良い感情に、秘かに口元を緩めた。
そんな自分を悟られぬよう、頬杖をついたまま、陸は脈絡のない話題をひとり、ごちる。
「…腹減った」
実際、彼は、昼食をとっていなかった。
食堂で、さあ食べようと言う時に、友人に全て差し出してきたから。
華夜子は彼の呟きに思わず反応し、声を上げる。
「あ…」
陸は小さな、でも確かな、彼女のそれを聞き逃さなかった。
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