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蕩けるようなキスをして
第34章 彼の過去
でも。
彼はまだ、私のものではない。
私だけの、ものでは、ない。
これもまた、私が拒んでいるのだけれども。
「…関係ない?」
陸の怒気を含んだそれが、耳元でした。
関係ないってなんだよ-肩を抱く手に、力が籠められる。
今までの自分の行いなどまるで棚に上げ。
まるで自分に非などないかのように。
関係ないなんて言い切ってみせる彼女に、激しい怒りを覚える。
肩から下降する、指。
華夜子は、突然の彼の指の動きに、戸惑い、驚く。
そうこうしている内に、腰を掴まえられ、有無を言わさず、彼の胸元へ身体を押さえ付けられる。
「…だから。見られてるし」
ベンチを横切る複数の学生を認め、華夜子は上擦った声で彼を非難する。
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