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蕩けるようなキスをして
第34章 彼の過去
「櫻葉陸の口から、まさかそんな台詞を聞く日が来るなんて、ねぇ?女と行く所と言えば、99%-」
-相手のアパートかラブホテルだったのにね。
噛み殺し兼ねない陸の形相に、慈悲の心を持って、乃愛はその言葉は呑み込んでやった。
「華夜子、また明日ね」
乃愛はバイバイと手を振り、背を向け中庭を後にする。
その肩は-大きく震えていた。
「ぜってー笑ってるだろ…」
散々いいように遊ばれた陸は、悔しくてならない。
軽く舌打ちし、次会った時の報復を様々思い巡らせていると、横から華夜子が呟いた。
「…乃愛、悪い子じゃないよ。怒んないでよ」
陸は瞳孔を開き、華夜子を見遣る。
「だって乃愛が言った事、全部ほんとでしょ。嘘なら頭にくるのも分かるけどさ」
「…」
「ちょっと悪ふざけが過ぎるとこもあるけどさ。根はいい子だよ」
「…分かってるよ」
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