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第34章 彼の過去

「だって、仕方ねーだろ。好きになったんだから。理由なんかない。理由なんかいらない。…俺は、華夜が好きだ。それだけだ。それのどこが悪い」
陸は乃愛に対して言を発していたが、それを横で耳にしていた華夜子は、とても平然としてはおられなかった。
どきどきする、心臓。
呼吸が上手く出来ず、息苦しい。
身体中が彼の言葉に縛られ、熱くて仕方がなかった。
彼のたった一言で、こんなにもなる、自分。
あまりにも単純過ぎる、自分。
私は、悪くない。
私は、至って、普通。
彼が、おかしい。
彼が、悪い。
いつも。
いつもいつも。