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蕩けるようなキスをして
第34章 彼の過去
それを受け、陸は眉を吊り上げた。
「わざとらしい事言うな。華夜の相手が俺だって事ぐらい、最初から知ってんだろーが」
-からかいに来ただけだろ。
陸の追及に、乃愛は、弾けるように笑った。
「あの櫻葉陸が、彼女の前だと、どんな風に豹変するのか。興味が湧いて、ついて来ちゃった」
「…どんなって、いつも通りだよ」
左耳のピアスを弄りながら、陸は投げやりに答える。
「大学のあちこちで、彼女といちゃついてる目撃談が聞こえてくるけど」
「別にいいだろ。自分の女とどこで何しようが」
「櫻葉陸のが、すげー彼女に首ったけに見えるって話だけど?」
「見えるんじゃなく、実際そうだし」
乃愛のからかいになんの怯みもなく即答し、陸は左隣りに腰を下ろす彼女を見る。
ただひたすら黙ってふたりの会話を聞いていた華夜子は、自分に向けられた視線を感じ、地面から顔を上げた。
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