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蕩けるようなキスをして
第34章 彼の過去
自分で蒔いた種だから、それはもう仕方がないけれど。
取り返しはつかないけれど。
だから。
知られているのだから。
それでも知ってて、黙っていてくれたのだから。
それをこちらから、わざわざ思い出させるような事。
「…ほんと。なんでこの三人で肩を並べて、ベンチに座ってるのかっていう」
昔、関係を持った女と、今、愛して止まない女。
ふたりに挟まれてる自分が、滑稽にすら思えてくる。
改めて。
陸は恨み言を、乃愛にぶつける。
「なんでお前、ここに来たんだよ?」
「そんな深い意味なんかないって。これから彼氏とデートだって、華夜子から聞いたからさ。私もちょうど授業終わったし、友達の彼氏がどんなか、拝んでから帰ろうかなって思っただけ」
言って、乃愛は陸に視線を送る。
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