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蕩けるようなキスをして
第34章 彼の過去
「…あ、えっと。ちょっと、悪ふざけが過ぎちゃったかな?」
陸に問うが、返事は得られない。
「流石の櫻葉陸も、元カノとの話は、今カノに聞かれたくなかったのかなぁ…なんて?」
乃愛に覗き込むように見られ、陸は彼女を軽く睨む。
「…俺じゃなくたって、普通いい気はしないだろ」
自分がしてきた事だけれども。
少し前までの奔放すぎる過去は、はっきり言って必要以上に、知られたくない。
そもそも言わなくても、既に大体は分かられているようなものなのに。
その上、更に傷口に塩を塗るような行為は。
何より。
彼女との出逢いは、最悪だった。
今にして思えば、有り得ない始まりだった。
乃愛との濃厚な抱擁の現場を、他ならぬ彼女に見られた。
言い訳なんか出来ない。
言い訳なんか出来るはずもない。
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