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蕩けるようなキスをして
第33章 抱擁
本当は、ちょっと、違ったのに。
本当は、そのままで。
そのままで、ほんの少しだけ、力を弱めて欲しかっただけ。
ほんの少しだけ優しくしてくれたら、そのままで。
そのままで、いたかったのに。
いたかった。
あなたの腕の中に。
あなたの腕に抱かれていたかった-。
「…ほんとに、怒ってない?華夜」
念を押すその瞳には、まだ不安が残っており。
華夜子は、苦笑いを続けながら、頷く。
「怒ってない」
ようやく陸は、僅かながらも、その口元を緩めた。
「明日も、華夜に逢える?」
「…うん」
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