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蕩けるようなキスをして
第33章 抱擁
「…指一本どころか、抱き締めて。すげー激昂されて、軽蔑されて、もう二度と逢ってもらえないかもしれないって、本気で思ってた」
陸の吐露に華夜子は驚き、そしてやがて、苦笑した。
「大袈裟だよ。それくらいで、逢えるとか逢えないとか-」
本当に。
ああ、本当に、このひとは。
どうしてこんなにも、私を掻き乱すの。
なんの迷いもなく、私を力任せに抱き寄せたくせに。
どきどきする間も与えず、私をその腕に抱いたくせに。
そうかと思えば、次の瞬間は、その行為自体を激しく後悔してみせて。
あんまりにも強く抱き締められて、苦しかったから。
ちょっと、その腕の力を弱めて欲しかった。
それだけなのに。
願えば、すぐにでも、弱くするどころか、私から身体の全てを離してしまった。
違ったのに。
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