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第33章 抱擁

言われた彼女も。
言った彼も。
ふたりして、頬を紅潮させ、お互いを見れない。
見たら。
今、見たら。
今、あなたを、見たら。
どうやって鎮めたらいいのか分からない程、もっと、もっと、染まる。
もっと、もっと、幸せの分。
頬が、紅く、色付いてしまう－…。
柔らかな毛先を弄んでいた陸だったが。
不意に自分を奮い立たせ、真剣なそれへと表情を変化させた。
「華夜」
自分を呼ぶその声音に含まれる、さっきまでとは違う、何か。
微かなそれを感じ取り、華夜子は面を上げた。