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蕩けるようなキスをして
第33章 抱擁
やめて。
またその笑顔で、やめて。
またその扇情的な眼で、やめて。
やめて。
誘惑してこないで。
蕩けてしまう。
甘い吐息が溢れてしまう。
胸がきゅんと、締め付けられてしまう。
文句なんて、何一つ、言えなくなってしまう。
全部、許してしまう-。
フローリングの床に視線を落とし。
頭の後ろで留められたパールのバレッタを、無意識の内に撫でていた華夜子の耳に、陸の呟きが届く。
「そうやって、恥ずかしさに俯く姿も。いつもいつも、すげー可愛いなって…見惚れてる」
自分自身が口にした台詞に照れ、陸は自らの波打つ前髪を掻き上げた。
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