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蕩けるようなキスをして
第33章 抱擁
訪れる、沈黙。
やっぱり、帰ろう-声を掛ける事も出来ない。
今日は-では、なく。
今日帰ったら、もう、それきりになってしまいそうで。
とても、口には出せない。
どうしたら。
何を言ったら。
散々逡巡していると、突如、問われる。
「…私。言わない方が良かった?」
怒っているか。
失望してるか。
呆れられているか。
とにかく。
きっと。
自分に向けられるその瞳が、冷ややかなのは明らかだったから、真面に視線を合わせられていなかった。