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第33章 抱擁

だから。
思わず目の前の華夜子を見た陸は、戸惑わずにはおられなかった。
「…ここにいたいって、言わない方が良かった？」
想像していた、どの冷淡な双眸ではなく。
それどころか、不安そうな瞳で真っ直ぐに見詰められ、どうしていいか分からなくなる。
「…そんな事」
－そんな事、どうしたら思う？
思いがけない言葉を貰い。
嬉しくて。
嬉し過ぎて。
思いがけずも、この腕に抱き締めてしまったのに。
「…私のせいだって。私が言ったからって…陸が」
－俺を煽るなよ、華夜。
そんなつもりは、これっぽっちもなかったけれど。
あなたが、そう、言うから。