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蕩けるようなキスをして
第33章 抱擁
離せない。
離さない-。
掻き抱く-正に、そんな表現が相応しいかの、抱擁。
無我夢中で、彼女の身体を欲した。
力の加減は-多分、出来てなかった。
優しくなんて抱いたら、あっと言う間に、この腕を擦り抜けていってしまいそうで。
だから、優しくなんて、しなかった。
「…陸」
腕の中。
彼女が、微かに、呟いた。
いよいよ、離して欲しい-そう言われる、覚悟を決めた。
「その、腕を…」
「…」
「ちょっと、苦しくて。だから…」
-その手を、離して。
言われる前に、陸は華夜子の身体を自分からそっと、遠ざけた。
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