この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蕩けるようなキスをして
第33章 抱擁
小さく安堵の息を漏らし、瞳を細め、頬を緩める。
もっと機嫌を損ねてしまう-思っていたのに。
反して微笑まれ、華夜子の頭の中は混乱をきたす。
泣かせたかと思った-陸は心底安心したかのように、囁いた。
「もし泣いてたらどうしようかと思った」
「陸…」
「こう見えても俺、女を泣かせた事ないんだよ。…その、大学で華夜を、一度泣かせてしまった以外は。…だから、華夜が涙を流していたとしたら、宥め方分かんなくて、きっと一緒になって泣いてた」
何それ-華夜子は思わず、吹き出した。
「一緒に泣いてどーすんの?」
「華夜が泣いたら、俺も哀しくなる。華夜が泣いた理由が俺なら、尚更。華夜を泣かせた自分が情けなくなって、泣かずにはいられない」
知らず掴んでた華夜子の腕から手を離し、陸は自嘲する。
「…指一本、触れないって言ってたのな」
-これじゃあ、やっぱり、警戒するなって方が無理だよな。
重苦しい溜め息を、ひとつ。
もっと機嫌を損ねてしまう-思っていたのに。
反して微笑まれ、華夜子の頭の中は混乱をきたす。
泣かせたかと思った-陸は心底安心したかのように、囁いた。
「もし泣いてたらどうしようかと思った」
「陸…」
「こう見えても俺、女を泣かせた事ないんだよ。…その、大学で華夜を、一度泣かせてしまった以外は。…だから、華夜が涙を流していたとしたら、宥め方分かんなくて、きっと一緒になって泣いてた」
何それ-華夜子は思わず、吹き出した。
「一緒に泣いてどーすんの?」
「華夜が泣いたら、俺も哀しくなる。華夜が泣いた理由が俺なら、尚更。華夜を泣かせた自分が情けなくなって、泣かずにはいられない」
知らず掴んでた華夜子の腕から手を離し、陸は自嘲する。
「…指一本、触れないって言ってたのな」
-これじゃあ、やっぱり、警戒するなって方が無理だよな。
重苦しい溜め息を、ひとつ。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


