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蕩けるようなキスをして
第32章 予約済み
有無を言わさぬ陸の腕の力に引っ張られ、華夜子はついて行くしかない。
「どこに行くの?」
尋ねるが、やっぱり、何も言ってくれない。
「駅は、反対側だよ?」
「…だな」
「じゃあ、どこに行くの…?」
恐る恐る、訊く。
どこに行くにしても、多分電車に乗らないといけないから、この方向は全く逆だ。
「華夜はさ。今日、俺とどこに行きたい?」
陸に話を振られ、言葉に詰まる。
ふたりでどこかに行こう-誘われ、了承したものの、彼の講義終了を待ち、今は三時過ぎ。
時間がかかる場所には行けそうにない。
なら、近場で-図書館で悩んでいたものの、いまいち考えがまとまっていなかった。
どうしよう-歩道の真ん中で立ち止まってしまった華夜子に、陸は微かに口角を上げた。
「どこも思い付かないなら。俺んち来る?」
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