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蕩けるようなキスをして
第30章 友達以上
「今更?食べかけとか、食べかけじゃないとか」
愉快そうに、言われる。
「…そ、だけど」
「俺は全然気にしない、そう、言ったはずだけど?」
「…そう、だけど」
そんなんじゃなく。
自分の為に作ってきた物じゃなく。
初めから、彼を想定して、作った物を。
食べて欲しい。
もしも、食べてくれるのなら-。
「…今日は。今日のは、だめ。あんまり、美味しく出来なかった」
あくまでも、頑なに、拒絶する彼女。
陸は少し考え、やがて呟いた-残念、と。
その顔は、淋しそうにも見え。
ちょっと哀しそうにも見え。
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