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蕩けるようなキスをして
第30章 友達以上
「いつまでも子供扱いすんなよ。これくらい余裕で食えんだよ」
「だから。いつも子供扱いなんてしてないし。卑屈になり過ぎ」
「少なくとも、もう二度と人前で、人参がどうのこうの言うなよ。食える事、証明したんだから」
「じゃあこれからは残さず食べるんだよね。良かった」
「…」
華夜子の意地の悪い返しに、陸の中で何かが、ぷつりと切れる。
有無を言わせず、彼女の細い肩を抱き寄せる。
「…!」
抵抗を試みるが、こう見えて並みの男子と同じくらいは力があるようで、びくともしない。
一気にざわめき始める、周辺のテーブル。
留以など、驚愕の余り、思わず立ち上がってしまった程だ。
勘弁して-自らの激しい鼓動の音を、まるで耳元で聞いているかのようだった。
「…陸っ」
華夜子は短く叫ぶが、陸は当然のように、聞く耳など持たない。
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