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蕩けるようなキスをして
第30章 友達以上
私を好きだと言ってくれたのも。
私が好きになったのも。
誰もが認めるかっこ良さなのに-見せ付ける必要がどこにあるの。
私の心をもう奪っているくせに-不安になる必要がどこにあるの。
どこにも、ない-。
華夜子は、どうにか頷くだけで精一杯だった。
「俺って、華夜子の何?」
手に取ったまま、使用してない箸を弄りながら、陸は思い切る。
「知り合いから、少しは華夜の中で俺、昇格した?」
正面切っては、訊けない-こんなとこが情けない、分かるけど。
陸はトレイに乗った料理の皿をぼんやり眺めながら、彼女がなんと言ってくれるのか、不安と期待を交差させながら待つ。
サラダの一番上に載った人参の千切りに、思わず眉間に皺を寄せた時。
「…友達」
彼女の、呟きが、聞こえた。
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