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蕩けるようなキスをして
第29章 嫉妬
そうなんだ-陸は頷き、弾けるように、笑った。
零れる、白い、歯。
今は確かに、自分だけに向けられるそれに、どうしたって胸が高鳴る。
正直な、身体。
素直じゃないこの心より、余程。
正反対の事を口走ってしまうこの唇より、よっぽど。
昨日の俺が正に、そうだったんだよな-独り言のように漏らされ、華夜子は目の前の彼を見上げた。
「やっと、俺を見てくれた」
繋がる、視線。
陸は誘い込むような眼差しを、彼女に絡ませた。
決して解(ほど)けぬよう、自らに強く、眼力だけで釘付けにさせる。
ほら、もう、見ないでなんていられない。
ほら、もう、逸らしたいなんて絶対思えない-。
自らを見詰め続けるしかない、彼女の瞳に満足しながら、陸は話を戻した。
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