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蕩けるようなキスをして
第28章 ライン
思い当たるのは、たったひとつ。
そろそろビルを出ようかという時。
『トイレ行って来てもいい?』
そう、言われ。
一番近い、雑貨屋さんを眺めながら待ってた。
その時に、きっと、私の為に-…。
電車の窓ガラスに映る自分を見る。
幸せそうな、私。
髪の毛に留められたバレッタに手を伸ばす。
はにかむ、私。

『ライン。俺が最初に送るはずだったのにな。華夜に先を越された』
『意表を突かれて、すげー驚いたけど。でも、すっげー嬉しかった』
『だから。そのお礼』

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