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蕩けるようなキスをして
第27章 約束
「だったら、読まなきゃいい。返信出来る余裕が出来た時に初めて読めばいい。で、すぐに返事すればいーじゃん。既読のままずっと放置なんて失礼だろ」
失礼ってさ、どの口が言ってるのよ-反論してやろうと思ったけど、止めた。
この調子だと、何を言ってもまた言い返されるに決まってる。
ここでごちゃごちゃしてしまい、折角楽しかったなって思ってる今日を、最後の最後で覆したくもない。
意外と面倒臭いひとかもしれない-陸に知られぬようそっと溜め息を吐き、華夜子は横目で彼を盗み見する。
「…何?」
目敏く気付いた陸に軽く睨まれる。
なんでもない-華夜子は諦めの表情になりつつも、ともかく彼のラインのコードを読み取らせてもらった。
ちょうどその時、ホームに電車の到着を告げるアナウンスが入った。
ふたりは、無意識の内に、目と目を合わせる。
楽しかった一日の終わり-口にはしなくとも、ふたりの心には、同じ思いが過(よぎ)る。
華夜-最初に彼女を呼んだ声は、見事に電車の入線の音に掻き消された。
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