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蕩けるようなキスをして
第3章 中庭
廊下を突き進んでいた華夜子の足が、止まる。
でも、彼に向き合う事はまだ、出来ない。
そんな彼女に、陸は苦笑いを漏らす。
「今日はやけにしおらしいじゃん、おねーさん」
昨日のあの威勢の良さはどうしたの-茶色の瞳で、彼女を覗く。
「…うるさい」
どうにか、絞り出す。
どうやら、多分、そんなに怒ってはいないだろう彼の様子に内心、救われながら。
いつもの調子が戻ってきたらしい華夜子に、陸は嬉しそうに喉を震わせた。
「やっぱ、おねーさん、最高。俺の股間に、膝蹴り食らわせてった女だけあるよ」
股間-廊下を行き来する学生達が思わず、反応してゆく。
「ば、馬鹿っ。でかい声で股間とかっ…!」
真っ赤になりながら、慌てて、華夜子は彼を制する。
「おねーさんのが、一番でかいって!」
またしても昨日と同じように、廊下の真ん中で、陸は抱腹絶倒した。
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