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蕩けるようなキスをして
第26章 彼の隣り
乾いた笑いが漏れる-決して、笑いたくて、笑ってるんじゃない。
「陸を見た後は…必ず、私にもくるから。視線が」
「…俺といると、嫌?」
陸は繋いだ手に力を籠め、華夜子の手を引いた。
店を出、程なく、通路に置いてあった革張りのソファに、ふたり並んで腰を下ろす。
憂いた華夜子の顔に、陸は微かに口角を上げた。
「気付かなくて。華夜子がそんな嫌な思いをしてるの、全然気付いてやれなくて。…俺は、今日、すげー楽しくて。すげー嬉しくて。華夜子と一緒にいる事が、すげー幸せで。そこまで華夜子が俺を思ってるくれてるなんて、まさか自惚れてはいなかったけれど。でも、少しは…少しは、俺といて楽しいって思ってくれてる、そう、勝手に考えてた。でも、それこそ、大きな自惚れだった。…ごめん」
自分が底なしに楽しいからって。
自分が底なしに嬉しいからって。
相手もそうだとは限らない。
そんな事にも気付けない程、舞い上がっていた自分が、恥ずかしくなる。
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