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蕩けるようなキスをして
第25章 デート
嬉しくて、堪らない-。
そんな小さな事に大きな喜びを見い出し、彼女を見て、幸せに浸ってただなんて。
絶対言えね--陸はなんとか、平常心を保つ事に必死だった。
「…華夜は?」
彼女から見て、横顔のまま。
ざわざわとする店内に、辛うじて掻き消されないくらいの音量で、陸は彼女を呼んだ。
食事の手を止め、華夜子はテーブルを挟んだ向かい側の彼を、不審そうに見る。
「華夜、美味しい?」
どんな事を言われるのかと思ったら-なんて事ない料理の感想を求められ、華夜子は拍子抜けしつつも、答える。
「…美味しいよ。陸は?」
陸はようやく、こちらに向き直った。
「華夜子と一緒に初めて食べる食事だ。最高に美味いに決まってる」
最高に甘い声で。
最高に甘い微笑みで。
陸は華夜子に、囁いた。
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