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第25章 デート

「なんでもないって…！」
－絶対、なんでもないって顔じゃなかった。
頬を染めて抗議しようとしたのに、非常に分かりやすく、聞こえない振りをされる。
陸は横を向いたまま、既に切ってあった料理を口に放り込んだ。
あくまでも『なんでもない』風を装う彼に、華夜子は観念し、深い溜め息を吐く。
もう、なんなの－ちょっと乱暴気味に、パンケーキにナイフを入れる。
そんな彼女の様子を横目に、自分でもないなと思う態度を取り続ける事への謝罪を、陸は心の中でする。
向かい合って。
同じテーブルで。
同じ食事を。
ほんと、俺ってなんでこんなに馬鹿なんだ？
思うけど。
なんでもない事が。
なんでもない事ほど。