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蕩けるようなキスをして
第25章 デート
たった今、絶対に離さない決意をしたばかりだったのに。
その数秒後に、離して欲しいと願われ、陸は平常心でいられない。
『…なんで』
分かってるけど、馬鹿な質問をしてしまう。
反する華夜子は、困ってしまう。
『いや、スマホを-』
-使いたいから。
悪い事など何もしてないと思うのだが。
知らない間(ま)に実は何かをしてしまったのだろうか-この彼の不機嫌そうな顔を見ると、そんな不安が過(よぎ)る。
『…やだ。離さない』
それを証明するかのように、陸のふて腐れたような態度は続く。
華夜子は返す言葉が見付からない。
なんだか悪い空気がふたりの間に下り始め、彼女が小さな溜め息を吐こうかとした時。
陸の耳朶を掠めるような呟きが、聞こえた。
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