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蕩けるようなキスをして
第24章 誰のことも
陸は華夜子の言動を微笑ましく思い、つい、喉を鳴らしまう。
彼女が少々驚いたように、こちらを見た。
例え何度目だろうと、彼女に見詰められれば、まるで平気でいられなくなる、自分。
栗色の波打つ髪の毛を、照れ隠しに、くしゃくしゃにする。
心臓は早鐘の如く動いており-その分、髪は激しく乱れる一方だった。
情けねー男-思うけど、どうしようもない。
それ以外の心穏やかにする方法なんて、彼は知らなかった。
深呼吸の一つでもしたら、落ち着ける?-息を吸い、吐いてを、数回繰り返す。
「…自惚れてなんか」
ようやく、通常に近い我を取り戻したところで、陸は呟いた。
「自惚れてなんかいない。俺は華夜子が好きだ。それは揺るぎない事実だから」
陸に気持ちを告げられ、今度は華夜子が、どきどきする番だった。
「ほんと、俺って、どうしようもない男だけど。自分でも情けねーなって、つくづく思うけれど。…でも、こんな俺だけど、華夜子が大好きだ。華夜子だけでいい。正直自分でも戸惑っているこの想いを、華夜子は分かるって言ってくれた。それだけで、俺はもう-」
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