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蕩けるようなキスをして
第24章 誰のことも
ほんと?-真摯に問われ、陸は言葉を失う。
『行かない』でも『離して』でもなかった。
素直にそれは喜ぶべきだったけれど。
けど、まさか、自分自身の事とは。
予想外の質問に大いに面食らい。
しかし、きちんと応えなければと、小さな溜め息を吐いた後、陸は重い口を開けた。
「ほんとだよ」
一言。
言い終わらぬ内から、華夜子の表情がみるみる強張ってゆく。
そんな彼女の様子に、自分自身が今まで散々蒔いてきた種なのに、今更の後悔が押し寄せる。
彼女の目を見て話す勇気をどうしても持てない-前方に視線を戻し、陸は続ける。
「乃愛にでも聞いた?」
薄っすらと笑みを湛え、陸は尋ねるが、返答は得られない。
横を向けないから、彼女が今どんな風なのか、定かじゃないけれど。
今度こそ本当に離されてしまうかな、手…-思うけど。
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