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蕩けるようなキスをして
第2章 櫻葉陸
ふたり、触れ合うまで僅かのところまで、彼が来ていた。
「…なんの冗談」
「冗談?」
「…壁ドンのブームはとっくに過ぎたし」
努めて冷静に、教えてやる。
華夜子の顔の両脇を通り、背後の扉につく、陸の両手。
先程のいきなりの物音は、彼がドアに手を乱暴について出たもの-やっと、理解した。
「じゃあ、今は何が流行ってるの?教えてよ、おねーさん」
笑いながら容赦なく、もっと、近付く、顔。
かかる、温かな、吐息。
「…止めた方がいいよ」
「おねーさんって面白いよね。俺の周りにはいないタイプ」
「…忠告はしたからね」
「ここに連れて来られた時点で警戒しないと。この教室、普段あんまり使われてなくて、俺はよく利用させてもらってるよ」
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