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蕩けるようなキスをして
第2章 櫻葉陸
「どっちもどっちで、お互いさまの関係じゃん。やらせてもらってるんだから、文句言う立場にないね」
もう、こんなくだらない話に付き合ってられない-教室内の時計を見れば、講義まで後少し。
一時間目の授業がある大教室まで、急いで行かないと。
じゃあ、私、行くから-華夜子は右手を扉にかける。
それと共に、背面に左腕が引っ張られるのは、同時。
いつの間にか机上から下りていた陸と、向き合う形となる。
何?-華夜子が不快感を示すより早く、彼女の背後の扉が大きな音を立てる。
条件反射で肩を竦め、両眼を閉じる。
一体何事か-心臓が早鐘のよう。
冷や汗が、伝う。
しかし。
それ以上の事は起こらず、華夜子は意を決し、そおっと、瞳を開(ひら)く。
「…!」
開けてしまった双眸を、再び、閉じたい衝動に駆られる。
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