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蕩けるようなキスをして
第73章 RtoK
「そりゃ、そう言うしかないよな。誰だって、訊いてきた相手の方を立てるよ普通」
こんなに気を遣わせて、しょうがないな-改めて、自分の馬鹿さ加減を猛省したのだが。
違う-華夜子はあくまでも、言い切った。
「私、陸が好き。生きて、こうして毎日側にいてくれる。それだけでって思うかも知れない。だけどそれが、どれだけの奇跡か。どれくらい幸せか。先生を喪って、私よく分かったの。生きて、動いて、元気で、毎日一緒にいてくれる。比べるまでもない-」
華夜子の潤んだ瞳が、陸を射抜く。
「その時点でもうとっくに、陸は高階先生より勝(まさ)っているんだよ」
陸の瞳孔が見開かれた。
「繋いでくれるこの手が温かい。昨日と変わらず、今日もとってもあったかい。それが私にとって、どんなに嬉しい事か分かる?私をどれだけ幸せにしてくれてるか…陸は分かってる?」
涙が、ひとすじ。
華夜子の頬を伝った。
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