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蕩けるようなキスをして
第73章 RtoK
「先生が全部書いてさえくれれば、後で誰にどんなに怒られてもいい。留以や…大学の友達にでも書いてもらって、市役所に持って行こうって、半分本気で思ってた。もう好きだからとか、そんな感情なんか関係なく、今になって思えば意地になってた。でも、私の誕生日の朝には…もうそんなの無理で。次の日には先生が亡くなってしまって。手元には届けだけが残った。受理してもらえるはずのない、不備だらけの婚姻届。でも、そこに名前を書いた時の気持ちだけは紛れもなく本物で。…その日から、たった一日だけだったけど、先生と結婚した事になった」
-私の心の中だけの話ね。
茶化すように言われたが、陸は笑う事など出来ない。
それ程までに好きだった気持ちを-笑うなんて。
陸が、ただ手を繋いでやる事しか出来ない自分を歯痒く思えば、彼女がこちらを窺っていた。
「比べるとかはどっちにも失礼だし、そもそも比べるものじゃないのを前提にして言うけれど。…私、やっぱり陸の方が好きだよ」
華夜子の告白に、陸は苦く口角を上げた。
-私の心の中だけの話ね。
茶化すように言われたが、陸は笑う事など出来ない。
それ程までに好きだった気持ちを-笑うなんて。
陸が、ただ手を繋いでやる事しか出来ない自分を歯痒く思えば、彼女がこちらを窺っていた。
「比べるとかはどっちにも失礼だし、そもそも比べるものじゃないのを前提にして言うけれど。…私、やっぱり陸の方が好きだよ」
華夜子の告白に、陸は苦く口角を上げた。

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