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蕩けるようなキスをして
第73章 RtoK
「指輪ありがとう。私、ずっと大事にするね」
寄り添い歩く華夜子が、呟いた。
白い息が宙を軽やかに舞う。
「先生が贈ったものに比べたら、見劣りはしてしまうかもだけど」
申し訳なさそうな陸に、華夜子は少し怒った風に告げる。
「劣ってなんか…全然ない」
左手の薬指に嵌められた銀色に輝く指輪を眺めながら、強い口調で華夜子は言い切った。
そんな華夜子の姿に、陸は正直驚き。
でもやがて、その目は細められた。
彼女の言葉は魔法のようだった。
照れ臭いような-でも、とてつもなく心地良い思いが広がってゆく。
波打つ落栗色の前髪を意味もなく弄っていると、ふと、密かにずっと知りたかった事が口をついて出た。
「高階先生のは…いつもらった指輪だったの?」
声にしてから、踏み込み過ぎてるかな-後悔が襲ったが、特段躊躇う様子もなく、華夜子は陸を見て答えた。
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