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蕩けるようなキスをして
第73章 RtoK
お互いにどきどきしながら、食い入るように華夜子の指を見ていたのだが。
輝くシルバーシングは拍子抜けするくらい、彼女の左手薬指に綺麗に嵌った。
華夜子は色んな意味で気が抜け、安堵の息を吐く。
そんな女心を恐らく知る由(よし)もない陸は、満足そうに口角を上げた。
「流石俺だな」
「えっ?」
「だって。サイズぴったりじゃん」
「あ、ああ…だね」
「俺ってこう時、なんか持ってる男だなって我ながら思う」
肩を揺らす陸に、華夜子もそれは認めざるを得ないので、苦笑しつつ同意する。
「だね」
「だろ?」
ひとしきり笑い合い、雪道を再び歩き出す。
冬の寒さも、今のふたりにはまるで関係なかった。
満たされた心も。
繋いだ手も、温かかった。
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