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蕩けるようなキスをして
第73章 RtoK
寒いな-でも、彼も手袋はしてないし。
自分だけするのも気が引けるし、このまま我慢しようかな-華夜子が思い巡らしていると、やがて当然のように、その手は陸のコートのポケットの中へ入った。
思わず陸を見れば、穏やかな笑みを返される。
もう何度も見慣れているはずなのに、華夜子は赤面せずにはいられない。
見た目で彼氏を選ぶタイプではないと断言出来るが-結果的に自分の恋人となった彼は、誰もが見惚れるくらいのひとだ。
こんなにも整い過ぎたものを間近で、しかもこんな風に微笑まれたら-どきどきせずにはおれない。
慌てて視線を足元に落としながら、華夜子は急いで話題を探す。
「…ファンクラブあるってほんと?」
「はっ?」
突然の質問に、陸は怪訝そうに眉を寄せる。
「ファンクラブ。櫻葉陸のそういう会があるって、大学の女子の中で専(もっぱ)らの噂だったよ」
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