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蕩けるようなキスをして
第72章 最愛
「でもそれって、周りの人間のせいじゃなかったんだよな。結局みんな、俺のせい。断れない自分、はっきりしない自分、当たり障りのない態度しか取れない自分、誰に対しても心を開き切れなかった自分。…俺がそんなだから、みんなも俺にもう一歩を踏み込めないまま、去ってくしかなかった。勿論そうじゃない奴も中にはいただろうけど、俺の事を本気で知りたいなって人間もきっといてくれただろうに、それに気付けなかった。誰かのせいにしてたけど…要は俺が原因だったんだって、後になってようやく分かった」
-そんな一番かっこ悪い俺を、華夜はお見通しだったんだな。
陸の口角が僅かに上がる。
恥ずかしいような。
でも嬉しいような。
そんな自分に気付き。
そんな自分を気遣い。
側にいないとって、思ってくれていた事。
だけど-。
「…母性本能がどうのの件(くだり)は、正直ちょっと納得いかないけど」
陸は小声で抗議する。
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